■新型インフルエンザ:家族が発症時に拡大を防ぐには?
新型インフルエンザの流行がますます広がってきた。感染・発症しても軽症と診断されれば自宅で回復を待つことになる。家族への感染リスクをできるだけ少なくするための自宅療養・看病のポイントをまとめた。
東京都に住む専業主婦のAさん(39)は会社員の夫、小学6年生、4年生の息子2人と4人暮らし。最近、次男が学校で新型インフルエンザに感染した。次男の病状も心配だが、長男はぜんそく持ちなので家族内感染は困る。自分が倒れたら看病する人がいなくなる。この冬、こんな心配がどこの家庭でも起こるかもしれない。
ます、看病する家族は1人に限定する。妊婦やAさんの長男のように持病がある人はできるだけ患者との接触を避けてもらうのが大事だ。
患者には個室で療養してもらおう。同じ室内で過ごすなら、1〜2m以上離れる。インフルエンザウイルスはせきやくしゃみの飛沫(ひまつ)を通じて人にうつるからだ。患者にはマスクをしてもらい、家族も患者と接するときはマスクを着ける。
乳幼児がかかった場合は、抱っこするとき自分の肩に子どものあごをのせるなど、面と向かわない工夫がいる。
患者がもしマスクをしていない状態でせきやくしゃみが出そうになったら、家族から顔をそむけ、ティッシュや腕の内側で鼻や□を押さえるようにする。
ウイルスは接触感染でもうつる。患者がドアノブなどに触れるとウイルスが付着する。同じノブを家族が触れ、その手で目鼻をこするとウイルスが体内に侵入する。ドアノブや階段の手すりなどは消毒液や水でふき取って清潔に保つ。手洗いも大切だ。患者が使ったティッシュにも相当量のウイルスが付いている。マスクやティッシュはビニール袋に入れてすぐゴミ箱に捨てる。
ウイルスはまれに空気中を漂って離れた人にうつる「空気感染」を起こすこともあるとされる。巧みに防止効果をうたう空気清浄機が人気だが、患者の部屋の窓を開けて換気すれば十分。
家族間で感染を広げないようにするには部屋の湿度を保つ。ウイルスは乾燥した場所・で活発になるとされるからだ。適度な湿度を保てばのどの乾燥でウイルスが侵入しやすくなるのを防ぐ効果も期待できる。
新型インフルにかかったら十分な栄養と睡眠をとる。こまめな水分補給も重要だ。水よりも塩分や糖分を含んだスポーツ飲料やスープ類が望ましい。
服用は最後まで
タミフルなど処方された薬は熱が下がったからといって途中で服用をやめないこと。耐性ウイルスの出現にもつながるからだ。
大半が自然に回復するが、重症化の兆候がみられれぱ、すぐ医療機関に相談しよう。
発熱やのどの痛み、せきなどの症状が治まった後もウイルスはしばらく体外に排出される。厚生労働省は「熱が下がってから2日目まで」か「発熱などの症状が始まった日の翌日から7日目まで」のどちらか長い日数、外出を控えるよう勧めている。家族内に感染者が出ても「自分に症状がなければ学校や会社に行っても構わない]という意見が一般的だ。ただ、体調の変化にはいつもよりも気をつけるようにしよう。
自分がウイルス感染を広げた先に、誰か重症化する人が出るかもしれない。一人ひとりがそんな思いやりを持って、流行シーズンを過ごすようにしたい。
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